人気ブログランキング | 話題のタグを見る

只今pandaに乗れない生活中


by la-panda
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「オールド・ボーイ」


またもや、エネルギー吸い取られ系映画の登場です。
韓流ブームとは無縁な私でしたが、
「タランティーノ、カンヌで絶賛」とあって、以前から興味あって。
さすが、昨年話題になっていただけのことはあり、
見ごたえ充分の作品でした。
正直後味よくないし、奨める人も選ぴそうなんですが、
衝撃ラストと共に、1コマ1コマの映像のインパクト強さが、いつまでも脳裏に焼き付きそうな映画です。

妻子持ちの平凡なサラリーマン、オ・デスはある日突然さらわれ、監禁されます。
その期間も理由も知らされないまま、15年が過ぎ、そして突然の解放。その後彼を待ち受けていたものとは、、、。

お話は監禁中よりも、解放後の5日間がメインに展開されます。
想像を絶する監禁時間ですが、この15年という期間が物語の鍵にもなっていました。
「何故監禁されたかではなく、なぜ解放されたか?」
この謎解きの流れは、観てる側にもすんなり入ってきて、目の話せない展開の連続。
そしてその謎解きとともに、復讐という目的を持つ人間のパワーが強く描かれていて、観ている側を圧倒します。
特に暴力シーン。暴力シーンの描き方が復讐劇の全てともいえますが、
久々に痛いシーンをいっぱいみせられ、もう目を覆うばかり。
タランティーノ映画でも平気だったのに、私も弱くなったもんだなあと思いましたが、
この映画の描くトーンやドロドロ感、オ・デス演じるチェ・ミンシクの狂気な表情が強烈に見せていたのでしょう。
それでもたまに入るちょっとしたユーモアが救いでしたね。
あと一人で立ち回るシーン、ありえね〜っとか思ったけど、あのワンカットのカメラワークは面白かったです。

(この後ネタバレ感想です)
復讐心で生き延びれた監禁生活とその後。
しかしその目的もなくなり、そして人を愛する事も許されなくなってしまえば、
当然生きる力は失われ、抜け殻と仮すわけで、、、。
この抜け殻状態を描いたラストシーンは、静かながらも衝撃的でした。
デスは大きな罪を犯すことによって、生き続ける道を選択しますが、
正直このショッキングな愛の形を、どうとらえたらいいのか戸惑ってしまって。

中盤、デスが屋上で解放された時、そこで飛び下り自殺しようとしていたオヤジに近寄り、頬ずりするというちょっと笑えるシーンがありました。
解放後にまず人肌を求めたというこの描写を観ていて、妙な安心感を覚えたのですが、
ラストでの罪な記憶から解放された後、ミドと抱き合う姿を観て、同じよう安心感をもったというのも正直な感想で。

このラストは映画の後味を悪くさせているし、納得もいかない所もありますが、
抜け殻状態のデスがただ生きることを願い、その権利を与えてもらうには、
ミドの体温がどうしても必要だったというのが伝わり、
その罪を背負ってでも、生き続ける方法もありなのかなと思いました。
愛の形はそれぞれで、他の人にはわからない世界もあるわけだしなあ。
抜け殻のデスの表情があまりに痛々しく、そう思わせたのかもしれませんね。

そういえば、屋上で自殺した男性、話きかされるだけで、自分のことは聞いてもらえずでしたよね。
「おーい相手の話も聞いてやってくれよ〜」とか思ったんですけど(笑)。
まあ相手の話聞いてる場合じゃなかったですからね。この後はかなりブラックでした〜。

もう一つこの映画で感じたのは言葉の暴力
このデスの過去って、例えていうなら、交通事故のきっかけを作っときながら、
本人は事故にも気付かず去ってしまったようなもの。
こういう事世の中にいっぱいありますよね。
ちょっとしたいろんなことが複雑にからみ合って、それぞれの人生がある。
もしかしたら、自分にもそんなことがあるのかも?とつい考えちゃいました。
そういえばそれこそ身勝手だけど、確かに自分がやられた事って忘れてないもんです。

これ一人で観たんですが、正解でした。ちょっと家族とは一緒にみれない内容だし;
どうでもいい事ですが、ミドみてビビアン・スー&ほたるちゃんを連想したのは私だけでしょうか(笑)。

監督・脚本:パク・チャヌク
原作:土屋ガロン(漫画)
撮影:チョン・ジョンフン
キャスト:チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・へジョン
製作年:2003年(韓)

by la-panda | 2005-05-19 12:41 | 映画