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只今pandaに乗れない生活中


by la-panda
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「勝手にしやがれ」


もう少し“赤+モノクロジャケ”続きでいってみようと、自分のビデオライブラリー見てたら、ありましたありました!
ジャン・リュック・ゴダールの長編第一作「勝手にしやがれ」です。
もう何年も部屋にこのポスター飾ってるくらい、どこを撮っても絵になる役者と映像センスに惚れた映画だったのですが、
今回久々に観て感じたのは台詞の奥深さ、リズム感
そして今から46年も前の映画だというのに、今観ても色あせない感触はかわらず。
なんでしょうか?このかっこよさは!
(毎度この表現ばっかですみません;)

自動車泥棒のミッシェル(ジャン・ポール・ベルモンド)は、白バイに追跡される途中、警官を殺してしまう。
パリへ逃げた彼は、アメリカの留学生だった恋人パトリシア(ジーン・セバーグ)のもとへいくのだが、、、。

「つまり おれは阿呆だ 結局はそうさ 阿呆でなきゃいかん」
「海が嫌いなら 山が嫌いなら 都会が嫌いなら 勝手にしやがれ!」
「ブレーキは使うな 車は止める為ではなく 走らせる為にある」

こんな言葉を吐き捨てながら、ミッシェルが盗んだ車を転がすシーンから映画は始まります。全くやくざな意味の無い言葉なのに、何故か詩的に聞こえてくる不思議(笑)。


この男、このとうり言ってる事、やってる事は単純でハチャメチャ。
ゴダール映画は難解なの多いけど、これはほんとただのチンピラ恋愛映画といった感じです。(いや、あまり深読みしてませんので/笑)。
でもそのラフなスタイルにピッタリな、ジャン・ポール・ベルモンドの、ダメ男ぶりが素敵なんです。
彼の二枚目スターには無い、奥底からにじみ出る色気が、もうかっこいいっ!
そしてもう一人の主役、パトリシアのなんとクールでキュートな事!
彼女もまた絵になりすぎの美貌で、この2人が並んで歩くだけで、もう惚れちゃいます。

「いまいましい、いつも自分にあわん女に惚れる」
「変な女なんだ だけど好きなんだ」(by ミッシェル)

「傷心と虚無では、私は傷心を選ぶ。どっちを選ぶ?」(by パトリシア)

2人の会話のシーン、常に理由づけを求める女と、感覚だけで行動する男の会話はとことん噛み合いません。
でも、それらがまたまた詩的に聞こえてくるから不思議。

「何故悲しいの?」
「悲しいからさ」
「馬鹿な答え。私の話し方が丁寧すぎる?」
「違う君なしではいられない」
「いられるわ」
「だが、いたくはない」

前回書いた「コーヒー&シガレッツ」は会話のぎこちなさや間を楽しむ物だったけど、
同じ噛み合なさでも、この映画にはにぎこちなさはなくて、むしろ吸引しあう男女の、息ピッタリなリズム感を感じました。

リズムと言えば、この映画、映像が編集でよくブチブチと切られているんですが、それも独特のリズム感を持たせているようで。長回しのシーンも退屈せずに観れました。
でも計算ではないんじゃないかな。あくまで自由に撮ったかのようなラフな創りが、この映画の魅力だと思うから。

全く感覚的に好きという映画の部類なので、どうもうまく説明ができないのですが、
最後に印象的な台詞をもういっちょ並べて終わりにさせていただきます〜。

「君は本当に最低だ」
「最低って何の事?」

ちなみに私、他のゴダール作品はあまり詳しくありませんですっ;
やっぱりちょっと難解で(笑)。あっ「気狂いピエロ」は好きですけどね。
大人になった今なら、また新しい見方ができるかな〜。

監督:ジャン・リュック・ゴダール
原作:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、ジーン・セバーグ
製作年:1959年(仏)
by la-panda | 2005-10-07 01:44 | 映画