只今pandaに乗れない生活中


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「笑の大学」(映画版&舞台版)


私が観ている三谷幸喜の作品の中でも、No.1に好きな舞台「笑の大学」の映画化作品です。

昭和初期の戦時下。不謹慎な笑いを弾圧しようと喜劇台本をチェックする警視庁の検閲官向坂と、そのチェックを受ける座付作家椿
椿に無理難題を押し付けては書き直しを命じる向坂だったが、なぜか椿が書き直す度に台本は面白さを増していき、、、。

昔NHKの放送でこの舞台収録を観ました。
笑って笑って、泣いて、また笑ってと、西村雅彦&近藤芳正の演技に見事によわされ、感銘を受けたのを覚えています。
思い入れが強い分、比較して観ることは避けられませんでしたが、やはりどんな表現をしようともこのお話の素晴らしさ、奥深さは変らなかったです。
立場の違う男の生きざま・友情をユニークにそして何処までも暖かく描いていて、、、どちらもお笑いへの愛とともに人間の尊厳をも描いた素晴らしい作品だったと思います。

映画ではあくまで舞台の二人芝居の形をメインとしていて、c0004181_11265536.jpgそれに当時の世情をイメージさせるエッセンスを加えた形となっていました。
笑い指数は若干低めでしたが(それでもいっぱい笑ったけど)、私がこの映画に新たに感じたのは暖かさです。
柔らかい光が差し込むレトロな部屋、カラフルな浅草の劇場街等…美術面もそうですが、二人のキャラクターの持ち味がそう思わせたのでしょう。
役所広司演じる向坂は、堅物のようで、実は何処にでもいそうな憎めない人間味あるオヤジだし、稲垣吾郎演じる椿は、ややインパクトにかけるも、若さとそのつかみどころのないキャラが、役所との掛け合いに合っていて。
この二人が歩み寄る過程は微笑ましく、ラストのせつなさも含めて、観た後なんだか優しい気持ちになれるいい映画でした。

ちなみに舞台版はどうだったかというと、(初演は1996年)
c0004181_11355573.jpg

二人芝居が淡々と進む形式でしたが、私がこの舞台に一番感じたのは躍動感でした。
男と男のプライドをかけた戦い、その駆け引きはちょっとしたサスペンスだし、物を作り上げる時のひらめき感や魔法がその空間に感じられて。
でもなんといっても、多いに笑えたんです。
西村演じる堅物&偏屈な向坂は、迫力がある分、崩れていく様が可愛いく、
近藤演じる椿は、信念を持つ男ではあるんだけど、妙な動きと共にどこか哀愁感をも漂わせていて、そんな二人がそこに立って、しゃべっているだけで、もう可笑しくって!
もちろん二人の掛け合いの間も絶妙でしたが、彼等が真面目に演じれば演じる程面白かったです。
これが舞台が持つマジックなんでしょうね。そしてこれこそ劇中の話に出てきたコメディの要素なのかもしれません。
ラストも笑いで締めくくってる点など、深いテーマを描き、涙させつつも、どこまでもコメディの舞台にこだわっていたように思いましたね。
これはぜひ生で観て、皆と一緒に笑い、泣きたかったなあ。

というわけで最後はネタばれ感想です。

作家椿のモデルは喜劇王エノケンの座付作家菊谷栄さんだそうで、実際に戦地へ向かい帰らぬ人となったらしいです。
当時の時代背景を考えても、このラストは身につまされます。
「笑いを全て排除した喜劇を書いてこい!」
向坂の最後の難題に、椿は最高の台本と共に、召集令状というまさに笑えない喜劇を持ってくるとは、、、なっなんと深い!
そこの部分がメインテーマではないと思いますが、いかに戦争が愚かかをこんな変化球で描いているなんて、見事だなあと思います。
旦那は戦争映画をかなり観ている人ですが、反戦映画としてベスト5には入るといってましたね。
そういえば、「ライフ・イズ・ビューティフル」も反戦を描いたあたたかい
コメディでした。
いや、中味は全然違うんだけど、なんだかちょっと思い出したのでした。

監督:星護   脚本:三谷幸喜
キャスト:役所広司、稲垣吾郎、小松政男
製作年:2004年(日)
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by la-panda | 2005-06-03 12:14 | 映画