「メメント」
2005年 09月 10日
うーん面白かった!こういう映像でしか表現しえないアイデア映画に出会えると、やっぱ映画はやめられないって思っちゃいます。
これは記憶が10分しか続かない男の頭の中を疑似体験する映画です。しかも時間が現在から過去へと遡っていくという斬新な構成。
(なのでお話はいきなりラストシーンから始まるのだ)
ちなみにこういうの「リワインドムービー」というらしい。(=巻き戻し、まんまですね)
保険の調査員をしていたレナードは、妻がレイプされ殺害されたという事件を機に、記憶障害を持ってしまう。
それは事件以前の記憶はあるのに、事件以降の記憶はすぐにリセットされてしまうというもの。
それでも妻の復習を遂げるため、犯人探しをするレナードだったが、、、。
記録した文字と写真だけを頼りに犯人を探すレナード。
しかし彼は10分もすればまた新しい環境にいて、誰かもわからない人と接しているような状況を体験するわけです。
この戸惑いぶりが面白いと同時に、こちらも同じ孤独感を味わってる気分にさせられます。
さらに主人公の断片的な記憶をたどる事で、観てるこちらも同じように真相推理の追求をせずにはいられなくなるというのが、新感覚でした。
今なぜこの状況にあるのか?この人は敵なのか見方なのか?
ひとつひとつ考えながら観るので、見終わった後はかなりの疲労感が;
それでも残った謎が気になって、もう一度鑑賞、で、さらに体力消耗(笑)。
でもそれくらい惹き付けられた映画だったです。
映像がスタイリッシュです。
メモなんて当てにならないとわかってるレナードは、重要なキーワードを体に刻み付けていきます。その刺青が、とてもアーティスティックでカッコよくって。
あと記録したポラロイド写真のボケ加減もいい感じ。
登場する小道具はすべて重要な鍵となっているので、ひとつひとつ印象深かったです。
そうそう、忘れちゃいけない、オープニングのポラロイド写真が薄れていくシーンは忘れられない名シーンです!
(以下ネタばれ感想。必ず観てから読んでくださいね)
人は記憶を都合のいいように作り替える。
これはほんとにそうで、はじめはそのいい加減な記憶に頼らない事が、逆に真実をつかむのだろうと思って観ていました。
でも人は何かを記録するときにも、主観的で都合いい言葉を選んでいるんですね。
テレビの映像も新聞も、事実なようで、事実ではない部分もあって。
結局はそれを解釈する人間が試されているんだなあということを感じました。
まあだから人間って面白いんでしょうけど。
レナードの苦悩の部分はクールに描かれてますが、
復習という生きる目標を持ち続けなければ、生きていけかったのだろう事を思うと、なんとも悲しかったです。
モノクロで描かれたサミーのエピソードは、実はレナードとその妻の真実だったとわかりますが、
妻のレナードに対する愛が悲劇を産み、レナードの妻への愛が、終わることの無い復習で、また悲劇を産んでいく、、、。
これを一途な愛の形ととるのが、この映画のせめてもの救いなのかもしれません。
DVDでは時間軸を戻して編集した版も入ってます。
新たな発見もありましたが、まあ、面白さは半減かな。ストーリーだけなら普通だし。
編集によっていくらでも面白くなるという事に、とにかく感心させられた映画でありました。
監督・脚本:クリストファー・ノーラン
キャスト :ガイ・ピアース、キャリー・アン・モス、ジョー・パントリアーノ
製作年 :2001年(米)
by la-panda
| 2005-09-10 23:34
| 映画